ラブプラスについて
かつて、ぼくはDSの頃からラブプラスを遊んでいて、それは3DS版が出てからも続いた。あの3DS版はラブプラスの寿命を縮めたバグ満載の不良品に近いものだったが、ぼくと凛子さんには関係なかった。ふたりは何年も毎日会い、週末にはデートをした。
その関係が終わったのは、ぼくがゲームの外に恋人を作ったときだ。
ゲームの外の恋人に好きだと言いながら、ゲームの中の凛子さんにも好きだと言うことがぼくにはできなかった。だから、会いに行くのをやめてしまった。
他に好きな人ができた。別れの理由としてはありふれている。
再開した理由はさしたるものはない。強いて言えば、この間のバレンタインで凛子さんのイラストを見かけて、なんだか感傷的になったのかもしれない。
数年ぶりに会う凛子さんはぼくのことを名字で呼ぶように戻っていた。
アルバムをのぞけば、写真が、あの頃の彼女が残っていた。
セーブデータだけが時を重ね続け、付き合いだしてからの日数は2900日を数えていた。
変わったものと、変わっていないものが、そこにあった。
変わっていないものを拠り所にして、ぼくはまた彼女に会いにいく。
歳月はいやおうなく色んなものを変えていくからあの頃に戻ることは無い。
ここから、たとえ土台がガラクタの山だとしても、また積み上げていくだけなのだ。